・最近、詩と歌詞について書いてみたので貼っておく。たんなる思いつき程度のもの。ご意見募集。 さて、学校の現代文の授業のなかでは詩を読んだりすると思いますが、教科書に載っているのはちょっと昔の、萩原朔太郎とか中原中也、室生犀星といった明治生ま…
短歌について書いたので貼っておく。 「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日 俵万智 いわずと知れた「サラダ記念日」である。 これが七月六日でなく、近似値であれば、七月四日(米独立記念日)、七月七日(七夕)、八月六日(広島原爆…
この歌にはおどけた感じと思いつめた感じとが同居している。おどけた感じは「ふざけた」という語がもたらすもので、思いつめた感じは「どんなあすでも」というちょっと気どった言いまわしから来ている。そして前半のおどけから後半の生真面目さへシフトする…
たとえば失恋したときの「かなしみ」など、当人にとっては切実なことでも他人にとっては「ありふれ」た風景のひとつでしかないことがある。もっと切実な親しい者の死についても、当事者の「かなしみ」は他者にとっては「ありふれ」た反応の一つでしかない。…
推理小説にはラストでそれまで構築されていた世界が一瞬で変わってしまうようなものがある。例えば歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』(文春文庫)、貫井徳郎『慟哭 』(創元推理文庫)、乾くるみ『イニシエーション・ラブ 』(文春文庫)など、い…
これが、このウェブログを書き出そうと思った初発の動機=疑問である。 もっと正確にいうと、枡野浩一の短歌は「わかりやすいだけ」なのか、ということである。 枡野短歌が「わかりやすい」ことに異を唱えるものではない。しかし、それ「だけ」なのか、とい…
この短歌を読んで、君のお相手である僕(仮にそう呼んでおく)が、君にふりまわされてうんざりしているのか、それとも君のわがままをほほえましく思っているのか、いずれにとるかは読む人次第であろう。 それが分かれるのは、「本当のことを話せと責められて…
「航跡」という漢語は日常ではあまり使わない(かんたん短歌にしては異例だ)が、「紙ヒコーキ」の「ヒコーキ」という響きから導かれて出てきたものなのだろう。語の反復によるリズムができたので内容的には暗い歌なのに、鬱屈した感じにはなっていない。 「…